「折れない心」でつなぐ、りんごの未来
〜高温・雪・虫害に苦しむりんご産地〜
長野県のりんご産地、アップルファームさみずを訪ねました。毎年この時期、生産者が主体となって外部講師や取引先を招き、栽培技術や現状を学ぶ勉強会が開催されています。
アップルファームさみず主催の勉強会
過去に類を見ない「二重苦」の現状
まずは2025年度の振り返りから。今シーズンのりんごは全国的に高温、干ばつで小玉傾向。夏の日焼けや前年冬の大雪による枝折れ被害の影響も大きく、流通量は2割減といわれています。アップルファームさみずでも、過去最低の収穫量だった2024年に次ぐ2番目の不作年。豊作だった2016年と比べると約半分です。
りんごの価格は上がっていますが、収穫量が減り生産コストが急上昇している状況で生産者の手取りは増えません。非常に厳しい経営状況が続いています。価格が上昇している野菜や果物は他にも多くありますが、これほど急激に生産環境が悪化し高騰している品目は他に類を見ません。
害虫と農薬、迫られる選択
長野県果樹試験場の専門家からは、害虫「シンクイムシ」についての報告がありました。例えばりんごの輸出先のひとつ台湾を例とすると、検疫でシンクイムイシの1種の「モモシンクイガ」が1匹でも見つかった場合、該当県からの輸入を禁止。年度内にもう1匹見つかれば日本全体からの輸入禁止となる重要害虫です。越冬した世代の虫の発生が著しく多く、被害が増えたという発表がありました。
シンクイムシ発生状況について、勉強会資料より
温暖化で変化する虫の発生サイクルに対し、いつ、どんな農薬を使えばよいのかを考察しますが、失効して使えなくなる農薬も年々増えています。生産者からは、「減農薬栽培は当たり前ではありません。過去に例がないほどのリスクとコストを背負って作っていることをご理解ください」という切実な要望があがりました。
カメムシ被害も年々増加しています
「枝だけでなく、心も折れる」青森の豪雪
もう一つのりんごの大産地・青森では、今年も大雪の被害に苦しんでいます。1月後半からの豪雪でりんごの木が雪に埋まり、枝が折れる被害が多発しています。
青森県、津軽産直組合の雪で折れたりんごの樹(2024年)
生産者は必死で枝の救出作業を続けていますが、枝のみならず、主幹が裂かれる被害も少なくなく、生産者は「昨年以上にひどい」と口をそろえ、甚大な被害が出ています。雪慣れしている青森であっても、集中的に雪が降ると除雪作業が追いつかず、生活道路もふさがれ畑にいくことすらままなりません。雪が溶けるタイミングで下に枝をもっていかれ、生産者も屋根からの大量の落雪に巻き込まれないよう、移動も命がけです。
青森県まさひろ林檎園、2024年の様子
理想の日当たり、風通し、作業性、着果量をイメージして、何年もかけて剪定作業を重ねてきた木が、自然の猛威の前に無惨な姿へと変わる。「枝だけでなく、心も折れる」という生産者の言葉が、現場の過酷さを物語っています。
一歩を踏み出すため、お客様の声を産地へ
それでもりんごの枝がつぼみをつけ、食べる人が待っている限り、やめるわけにはいきません。雪に折られないよう、鋭角に枝を出すようにしたり、木の高さを作って上から枝を垂らすようにしたり、アンテナを張り、知恵を絞って前に進みます。
外観は少し悪いものもありますが、おいしさ優先で手間ひまをかけて作ったりんごを味わっていただき、ぜひ感想をお寄せください。いい声も悪い声も、生産者にとって、次の一歩を踏み出すための何よりの励みになります。
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