らでぃっしゅぼーや

今週の畑だより

らでぃっしゅぼーや農産担当による
畑の"今"を届ける産地密着コラム

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熊本豪雨の爪痕
~水の子会(熊本県)~

各地で線状降水帯や豪雨のニュースが頻発し、心配は尽きません。今回は8月10日〜11日に豪雨に見舞われた熊本の産地を訪れました。一見日常が戻っているようにも見えても、実際の豪雨の爪痕は想像以上に大きいものでした。

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一見日常が戻っているように見えましたが…

干拓地の八代を襲った豪雨
れんこん、い草、柑橘類でもおなじみの熊本県八代市の水の子会も、事務所近くが水没しました。

豪雨翌日の12日朝6時頃、代表の上村さんが様子を見に行くと、県道より低い田んぼはすでに稲ごと水没。その後わずか数時間で道路も冠水しガードレールの上まで浸水したといいます。

幸い事務所や自宅は無事でしたが、地域の住宅では床上浸水が相次ぎ、県内では8,000軒以上が被害を受けました。車の水没も多く、近隣の空き地には数百台が並んでいるそうです。

干拓地特有の事情で被害が大きく
雨は11日昼には止んでいましたが、山に降った雨が時間差で八代平野に流れ込みました。
河口部には満潮時の海水の逆流を防ぐ「樋門(ひもん)」という水門がありますが、くしくも当日は大潮で門が閉じており、排水できず被害を拡大させました。

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海水の逆流を防ぐ「樋門(ひもん)」

有機認証の取り消し、収穫期を控えた農機の被害
農作物への影響も深刻で、上村さんも被害を受けました。
農薬や化学肥料を使わない「有機れんこん」を目指し、10年かけて生活用水が入らない環境を作ってきた上村さん。3年前にようやく有機JAS認証を取得しましたが、今回の豪雨でほかの水が入り込み、認証を取り消される事態になってしまいました。

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豪雨で生活用水が混入し、有機認証が取消しとなってしまった上村さんのれんこん畑

れんこんの収穫機も2台横転していました。もともと水の中で作業ができる機械ですが、あまりの水かさにバランスを崩しひっくり返り、精密機器の部分が水没して使えなくなってしまいました。

このような機械の水没被害が多く、「米は無事だったが収穫するコンバインが水没して収穫ができない」というケースが相次いでいます。
農機は数百万〜1000万円以上と高額で、保険にも入れないケースが多く、大きな痛手です。

米の収穫時期を目前に控えここまで同時多発的に機械が壊れると、修理や交換に時間がかかり、稲は収穫時期を待ってはくれません。

全国生産9割を占める「い草産業」に大打撃
もうひとつ上村さんが危惧しているのが“い草”です。畳表の原料となるい草は、全国の生産量の約9割が八代で生産されています。

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水の子会の”い草”についてはおはなしSaladで詳しくご紹介しています。

水の子会の工場はぎりぎりで難を逃れましたが、地域の多くの工場や倉庫で、織機や畳表が浸水。もともと後継者不足、和室の減少などで衰退の危機にあった産業が大きな打撃を受けました。 専用機械を修理できる職人も少なく、再興は困難を極めそうです。

なんとか被害を免れた商品の販売を通じて、産地を支援していきたいです。

〜熊本豪雨・その他生産者の被害状況〜
on the soil(熊本県宇城市)

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豪雨により根こそぎ崩れてしまったOn the soiの不知火畑は、修復が不可能といいます

冠水した樋門の近くにあるシャインマスカット畑。ぶどう房のすぐ下の「この位置まで水がきました」

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草枕グループ(熊本県玉名市)

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草枕グループ、右田さんの柑橘畑は高台のためほぼ被害はなく無事でした

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車内で状況を説明してくれた右田忠利さん

草枕グループ右田さんの玉名市天水町でも浸水が大きく、低地は水没する住宅や畑が多数でした。幸い右田さんのご自宅や柑橘畑はやや高いところにあり、多少崩れたところもありましたが、ほぼ被害はありませんでした。

らでぃっしゅぼーやでは、熊本産地の支援企画を計画しております。改めてご案内いたしますので、よろしければご支援よろしくお願いいたします。

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