らでぃっしゅぼーや

今週の畑だより

農産担当者による産地密着コラム

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希少なみかん有機栽培の実践者
愛西グループ 菊池さん(愛媛県)

 日本における有機農業の取組面積はここ10年ゆるやかに増加していますが、全体の農産物面積に対しては0.6%程度とまだまだ少ない状況です(※1)。そのうちほとんどが野菜、次いで米・茶で、果物は3.2%しかありません(※1)。果樹は野菜のように単年ごとではなく、長年の病気や虫の害などが樹に蓄積していくため、農薬を極端に減らすと樹が弱ってしまったり、枯れてしまったりします。またヨーロッパなど海外に比べて高温多湿の日本では、病虫害の発生割合は比較にならないほど多く、難易度が非常に高い状況があります。

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 そんな有機栽培のハードルが非常に高い果物ですが、柑橘の有機栽培を実践、研究している方がいます。愛媛県八幡浜市でみかん類を作っている愛西グループの菊池さんです。菊池さんはみかんの樹の半分を刈り込み、その年の実をつけずに休ませ、半分だけに実を成らせる「半分丸刈り栽培」を独自に研究。今も試行錯誤しながら実践されています。

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半分丸刈り栽培。手前は実が成っているが、後ろ側は丸刈りにより実がない

 みかんの樹の半分をリフレッシュさせると、その枝に蓄積された病虫害のダメージを回復させることができ、休んだ部分が翌年勢いよく新芽を伸ばし、よい実が沢山成り味も品質も良くなるという理論です。近年の人手不足による栽培の省力化という意味でも有効な手法です。

 この半分丸刈り栽培はみかんだけで実践されていますが、そのほかの柑橘類も全て有機JAS認証を取得している菊池さんは稀有な存在で、その技術を日々研修生にも教えながら活動しています。「将来的には有機栽培を教える学校のようなものを作りたい」と意気込む菊池さん。その目は希望に満ちています。

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めぐる野菜箱では、菊池さんの栽培する「マドンナみかん」「甘平(かんぺい)」「はるか」等の柑橘類をお届けします。届いた際はぜひ、その奥深いエピソードとともに味わっていただけたらと思います。

※1:農林水産省「有機農業をめぐる事情」令和4年7月より
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