らでぃっしゅぼーや

今週の畑だより

農産担当者による産地密着コラム

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トマトが…トマトがありません

 トマトが…トマトがありません…。トマト担当の私としては、しっかりとお客さまにトマトをお届けできてない現状に、非常に歯がゆい思いをしています。記録的な高温、長引く残暑、降らない雨(干ばつ)の影響により、全国的に野菜が高騰していますが、特に影響が大きいのが「人参」と「トマト」です。今回はトマトの状況についてお話しします。

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 トマト類がとにかく不足しており、市場では平年の2.5倍から3倍の高値がついています。露地栽培だけではなく施設栽培も含め広い栽培方法が可能で、1年を通じて安定的に供給されるイメージのトマトですが、夏を越えた秋口が端境期です。夏秋の産地から、冬春の産地に切り替わるのが10月から11月頃。この端境期を防ぐため、夏秋トマトの最終走者と、冬春トマトの1番走者がバトンをつなぎます。

 しかし両走者に対して高温が悪さをします。夏秋トマトは生育後期の暑さで枯れてしまうなど、収穫が早く終了。冬春トマトは暑すぎて植えつけることができず、栽培計画全体が遅れてしまいました。そのため非常に深い谷間の時期ができてしまっています。冬春トマトは暑い季節に植えつけると、害虫被害が元となる黄化葉巻病という危険な病害が蔓延してしまうので、地域一体で夏の植え付け時期に制限がかかっている場合もあります。近年、夏の高温影響はトマトの広い栽培方法を狭めてしまい、より端境期が顕著になっています。一方で収穫が可能な時期に出荷が集中し、値崩れするという悪循環に陥ってしまっています。

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 この時期のらでぃっしゅぼーやのトマトを長く支えてくれているのが千葉県銚子市のしおかぜBoysです。半島特有の潮風や気候を生かしたトマト栽培が魅力ですが、今年は涼しい潮風を受けても夜温が下がらず、高温被害で厳しいスタートとなりました。高温期を乗り越えようやく出来始めたトマトも奇形や裂果が多く、収穫前に落とさざるを得ない状況です。「こんなに割れがひどい年はない。出荷したいけど、本当に出せる物がないんです。」と話すしおかぜBoysの宮崎さん。

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割れてしまった、しおかぜBoysのトマト

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「こんなに割れがひどい年はない」と話します

そんななかでも収穫できた貴重なトマトを、らでぃっしゅぼーやに出荷し、めぐる野菜箱を支えてくれています。めぐる野菜箱は一定価格でお客様にお届けするため、生産者からは事前契約した価格で年間を通じて仕入れをしています。そうすると、野菜が高騰した場合などは「一般市場に出したほうが高く売れる」ケースも出てきます。それでも生産者たちは、らでぃっしゅぼーやのお客様のために、不作時も野菜をかき集めて出荷してくれています。

 トマト不足は、残念ながら11月下旬ごろまで続いてしまう見込みです。自然に寄り添い、生産者とともに環境に負荷をかけない栽培を目指しているため、どうかご理解いただけると幸いです。

 二十四節季では「霜降(そうこう)」七十二候では「霎時施(こさめときどきふる)」。四季折々に降る小雨ですが、この時季は山々の動植物達が冬支度を始める季節にもなります。今年も残りあと少し、小雨後の秋晴れのように健やかで穏やかな日々が続きますように。

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らでぃっしゅぼーやスタッフと生産者で拝見させていただきます。