空知のカンパリミディトマト

特徴

北海道の空知地区で栽培している中玉トマトの「カンパリ」。
世界中で最も栽培されている中玉品種。
「房取り」と言って、ブドウのように収穫します。
しっかりとした果肉、硬めな皮が特徴のカンパリならでは。海外のような設備の整ったハウス栽培において、非常に収量性が高く、輸送に向いた「超優良品種」です。
しかし、この旺盛な生長力は両刃の剣。
多湿日本の土耕栽培や、土壌中の水分が豊富な圃場で栽培すると、テニスボールくらい玉は肥大し、甘味も酸味もとても低い悲しい中玉トマトになってしまいます。
目を瞑って食べたら、「これはなんだろうか」・・・というお味です。
ここで「作りの技術」と「北海道の秋」と「圃場の利」が登場。
適度な大きさのカンパリを作るためには、適度な太さの樹を仕立てる必要があります。
水分が土壌にゆっくりと沁み渡るように、ちびちびと水を与える。
人が日に食事を3回に分けるように、肥料も1回あたりを少なく、多回数与える。
これは、樹の姿と気候を天秤にかけながらの静かな作業。

9月中旬に収穫されるカンパリは7月下旬の開花。
お盆までの盛夏に肥大を済ませます。
お盆を過ぎると空知地区の朝晩は、スーっと温度が下がり、野山の草木も少し黄色味を帯びてきます。
盛夏に肥大した実は、この涼しさの中、果実にゆっくりと次の3つを蓄えます。
甘味の糖類、酸味の有機酸、旨味のアミノ酸。この時期の空知地区、昼間は暖かく風は乾風。
でも朝晩は急に涼しく、湿度を持ちます。この一日における温度と湿度の差が曲者。
柔らかな品種では、この二つの空気の「質の差」により実が割れてしまいます。
カンパリの「皮の強さ」が秋の空知で活かされます。
「圃場の利」これは後からどうすることもできない天賦のもの。
ただし、北海道の場合は、数世代前の開拓者である先祖からの贈物。
圃場は、石狩川の左岸(東側)の傾斜地に広がります。
水はけは、良すぎるくらい。夕は最後まで遮ることのない西日がトマトを照らします。
例年であれば、一番の「味の旬」は9月10日~10月10日でしょうか。
硬めの果皮に包まれているのは、北海道の夏と秋です。

食べ方のヒント

常温のまま、生で召し上がりください。皮が硬いので、果汁の飛び出しに注意!