「いいもの」を食べる毎日を、日本のあたりまえに。 有限会社まえた 前田隆さん(4代目社長)

2017.11.20

日本海に面する海岸線を有する新潟県。
豊富な魚介類と保存食文化を組み合わせた独自の食文化を発展させてきた地域です。
そんな豊かな食文化を持つ新潟県で伝統の技を守りながら個性的な商品開発で各方面からの注目を集めている水産加工メーカー「まえた」を訪ねました。

新潟県新潟市南区(有)まえた
  • 4時のセリ開始前、まだほの暗い中の新潟市水産市場
  • セリスタート! 仲買人たちの真剣勝負が始まります
  • 熟練の仲買人との連携プレーで効率よく競り落とします。

新鮮な魚と漬ける文化の
出会いがすべてのはじまり

新潟県新潟市で水産加工業を手がける「まえた」。実は創業時に扱っていたのは野菜の漬物。冬を越すために味噌や漬物などの発酵・保存食文化を発展させてきた新潟県の地域文化が屋台骨です。「初代がお寺の伴僧をしながら作っていた漬物が評判になり家業になったんですよ。3代目の父が『漬けるのに野菜も魚も関係ない』と魚も扱うようになりました」と、4代目社長の前田隆さん。幼少期から家業を手伝い、高校卒業後は東京、下町の魚屋で丁稚奉公修行。20歳で新潟に戻ってからも休むことなく水産業の第一線を走り続けます。「まだ50歳代だけど漬物歴は45年以上だよ!」水産のプロである一方、初代から受け継いだ“漬け技”への自信もチラリ。
そんな前田社長が重視するのが素材。「悪いものを使えばそれなりにしかならない。漬魚や干物にこそいい素材を使うべきだ」と。よい素材を手に入れるため、毎朝3時30分には新潟市の水産市場へ。入荷状況を素早く見極め、仲買人と連携を取りながらお目当ての魚を次々に落札。一度の買い付け額が数百万円になることも珍しくありません。「魚の仕入れはギャンブルと同じ。だから、魚屋は度胸がないとできない仕事なんだよ」と笑います。

開いた魚を干し網に。均一に隙間をあけて並べるのも技術です

おいしくない魚が、
魚嫌いの子どもを作る

もっとおいしい魚を… 。前田社長の想いは商品開発に対しても同様です。たとえば看板商品であるヤナギカレイやノドグロの干物は、新潟の伝統食品・塩引き鮭から発想を得て開発。焼いた生魚のようにジューシーなのに、干物特有の凝縮された旨みもしっかり。また食べたくなること必至です。アイデアを同業者に真似されることもありますが前田社長は気にしません。「モノマネだけで面白いものは作れません。私にはアイデアがある。次を作ればいいんです」と。
そんな前田社長が気にかけるのが子どもたちの魚嫌い問題。学校給食用の魚介類の調達も手がけているため、この件には無関心ではいられないと言います。「骨があって食べにくいから魚を食べないんじゃない。子どもは正直だから“おいしくない魚を食べない”だけなんだよ」。「食べ物は体を作る原材料。だからこそ体が喜ぶものを選んでほしい。いいものを食べるのは特別な時、贅沢なことと考えるのではなく、普段から食べるべきなんです。いいものを食べることをあたりまえだと、誰もが思える世の中に変えていきたいですね」

おいしさのヒミツ

まえたのこだわり

  • 仕入れた当日に加工が基本
    使用する魚は加工当日の朝に仕入れるのが基本。やむなく翌日に加工する場合も厳密に温度管理した冷蔵庫で保管。新鮮な状態を保ちます。
  • 加工前提でも鮮度が命!
    作業中以外は常に身が氷に当たっている状態をキープ。魚の持ち方からさばき方まで細心の注意を払い、鮮度を落とさず加工していきます。
  • 塩ふりは選ばれた精鋭が担当
    魚種やサイズ、魚の部位でも加減を変える塩ふり。絶妙な調整が必要な作業のため、前田社長他、数名の熟練した職人だけが担当しています。

つくり手こだわりの商品

※時期の関係でお取り扱いがない、もしくは販売終了している場合がございます。予めご了承ください。

「食べたい!」という人に食べてもらえればいい。納得できない魚を使う気はないからね。

有限会社 まえた

魚の目利きから加工製造まで広い守備範囲を誇る水産加工メーカー。塩引き鮭にヒントを得た干物や新潟の発酵技術を魚介類に応用した糀漬けなど、ユニークな商品開発で同業者からも一目置かれています。

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