畜産品


安心な環境で育てる
健やかな畜産

庭で鶏を飼って、卵や鶏肉をありがたくいただく。そんな食べ方が変わっていったのは明治以降のこと。牛や豚や鶏を商品として育てる「畜産」が本格的に行われるようになったからです。もちろん当時は、肉や卵はまだまだ庶民にとって高嶺の花でした。しかし、戦後の経済成長によって庶民の所得が増えると、生活の欧米化も相まって肉や卵の需要は一気に高まっていきます。それに応じ、畜産はいつしか工業製品のように「生産性の向上」が最優先されるようになっていきました。

そんな状況に疑問を抱いたらでぃっしゅぼーやでは、より自然に近い畜産品を届けたいと考え、産地を選び抜き、できるだけ家畜の行動を制限しない平飼いや放牧による飼育技術を生産者とともに確立してきました。これからも昔と同じように、心からの「いただきます」を言える精神を大切に。

畜産品の 4つの柱

動物の生態に合わせた飼育

アニマルウェルフェアの精神に寄り添って

「すべての動物が痛みやストレスなどから解放され、幸福に暮らす」という〝アニマルウェルフェア〟の考えに基づき、その動物の生態にあった環境での飼育方法を尊重しています。その規範となるのが、左に掲げる「5つの解放」です。

アニマルウェルフェアは、「BSE」の流行をきっかけに1990年代のヨーロッパで生まれました。日本ではまだなじみが薄く、国や生産者団体レベルでの取り組みは大きく後れをとっています。しかし、生産者の中には、早くからこの考えを取り入れてきた人たちもいます。

たとえば、病気発生のリスクが高くなる密飼いをやめて、平飼いや放牧など広々とした飼育環境で家畜を育てることは、抗生物質などの薬に頼らない畜産へとつながります。肉や卵、牛乳など、らでぃっしゅぼーやの畜産品はそういった飼育を実践している生産者のものを優先しています。

*BSE(牛海綿状脳症)
牛の脳がスポンジ(海綿)のようになる病気で、1990年代にイギリスを中心にEU諸国で18万頭以上が発病。やがてBSE牛を食べた人への感染も報告され、世界中がパニックに。これをきっかけに、経済効率を優先して工業化を進めた畜産は見直され、アニマルウェルフェアの考えを尊重するようにりました。

抗生物質などの投薬の原則禁止

生育環境を整えて、薬に頼らず強くて元気に!

2017年11月に、世界保健機関(WHO)は、家畜を早く成長させたり病気を予防したりする目的で日常的に抗生物質(抗菌薬)を投与することを中止するよう、農家や食品業界に向けて勧告しました。

家畜に抗生物質が多用されることは、以前から問題になっていました。抗生物質は使い続けていくと、細菌がその薬に抵抗力をつけてしまい、薬が効かなくなることがあります。そのような「薬剤耐性菌」は現在世界的に増えていて、このまま対策を取らないと人間の感染症の治療が困難になるといった事態も懸念されているほどです。

らでぃっしゅぼーやでは、安全性とアニマルウェルフェアの観点から、これまで牛や豚の放牧、鶏の平飼いなどにより生育環境を整えて健康的に育てることで、予防目的の抗生物質などの恒常的な投薬は原則として禁止してきました。

また、治療目的で投薬を行った場合でも、法定休薬期間の2倍をおいてから出荷することを基準に設けています。

法律で決められている投薬最終日から出荷まで、最低空けなければならない期間。

中津ミート・松下憲司さん(神奈川県)
らでぃっしゅぼーや調べ

牛や豚、鶏を育てるのに薬は必要ですか?

健康的に育てた家畜には必要以上の
投薬は不要だと考えています。

しかし、生命力が弱い哺乳期・育成期に限り、疾病予防の目的で合成抗菌剤や抗生物質を使用することがあります。また、駆虫剤、ワクチン剤については、被害の拡大を防ぐなど必要最低限の投薬はやむを得ないと判断した場合、使用することを認めています。

非遺伝子組み換え飼料の使用

動物が食べるえさの安全性も大切に

家畜を育てる上で欠かせない飼料についても、人間が食べる農産物などと同じように安全性を慎重に評価することが重要だと考えています。

日本では1996年から、遺伝子組み換え作物の輸入が政府によって認可されました。大豆、菜種、トウモロコシ、ジャガイモ、綿実、てんさいの6種が市場に出回っており、飼料の主食として使われるトウモロコシは、大半を輸入に頼っているのが現状です。また、日本での栽培についても商業的なものはほとんど行われていませんが、栽培すること自体が禁止されているわけではありません。らでぃっしゅぼーやとしては、遺伝子組み換え作物の栽培を行うことの自然環境への負荷や長期的に摂り続けることによる体への影響について、必ずしも信頼がまだ十分ではないと判断し、家畜の飼料には非遺伝子組み換え作物を用いることを原則としています。これは、主食にあたるトウモロコシだけでなく、大豆や菜種の搾りかすを与える場合でも同様です。

哺乳期・育成期の飼料は、「非遺伝子組換え作物」を使用した配合で作ることが難しいため遺伝子組み換え作物の使用を容認しています。

柏村農場・柏村光恵さん(山口県)
非遺伝子組み換え作物で作った鶏の飼料

環境に配慮した育て方

資源を有効活用して循環型に

理想とする酪農のかたちは、畜産と農産の生産者が強く連携する「耕畜複合」の循環型農業です。

具体的には、家畜の排泄物で堆肥を作り、近隣の農家はその堆肥を利用して飼料用の米や小麦、トウモロコシなどを栽培。その飼料を使って、畜産の生産者は牛や豚、鶏を育て、再び排泄物を堆肥にするという循環です。地域でこの仕組みができると、排泄物などが資源として有効活用され、地域内で循環することにより経済も活性化します。

さらに、環境負荷を軽減する役割も果たします。輸入飼料と地域で作られた飼料について、輸送エネルギーなどによる地球温暖化負荷ガスがどのぐらい排出されるかを比較した調査によると、トウモロコシの場合、地域で作る飼料は輸入の4分の1程度、小麦ふすまは3分の1程度に抑えられるという結果が。飼料の7割以上を輸入に頼っている日本の状況を見ると、耕畜複合の循環型農業がこれからの日本の畜産の持続には必要だと考えます。

農研機構『東北農業研究センターたより 第21号』(2007年3月1日発行)より