回答:
まず肥料とは何かを考えてみましょう。
雑草など見ると、何も無くても土があれば作物が育っていますね。土にもともとある養分や、自分の力で養分を作り出したりして育っています。
それを見ると肥料など無くても作物も作れそうですが、野菜を生産して出荷するという仕事にするためには、ある面積に作物を「たくさん」作る必要があります。
それには、肥料を足さないと養分が足りません。
植物は「光合成」によって、二酸化炭素と水から、炭水化物を作り出すことができます。
炭水化物はカロリー源になりますが、体を作っていくことはできません。
植物も動物も、体のほとんどはたんぱく質でできています。たんぱく質を作るには、「窒素」が必要で、これは基本的に根から吸収することになります。
有機肥料を使わない農家は、化成肥料などを使うことになります。
窒素などの養分を化学的に作ったものが化成肥料です。
化成肥料を見ると、「窒素、リン酸、カリウム」が中心にできています。確かにこれらの三要素があれば、作物はなんとか育ちます。
しかし、これだけでは、人が栄養剤やサプリメントだけ食べて生活するのと一緒で、いろいろな栄養素が足りません。この三要素以外に、カルシウム、マグネシウム、鉄分、なども重要です。
有機肥料は、主要な養分の他にもさまざまな栄養素を含んだ、つまり、作物にたくさんのおかずがある食事を与えるのと同じようなものです。
有機肥料は何から作るの?
有機肥料は、例えば、牛や豚、鶏などの家畜の糞から作ったり、魚のカスから作ったり、米ぬかやもみ殻、おからなどの廃棄物から作ったりします。たいてい、それらをいろいろとミックスしています。
つまり、もともと植物や動物の体だった「有機物」から作るので「有機肥料」なのです。
生産者が入手しやすいかどうか、生産者が作物に対しどういう肥料にしたいか、などにより肥料の原料は様々です。
例えば養鶏場が近くにある生産者は鶏糞の肥料を作りやすいでしょうし、近くの豆腐工場がおからを引き取ってくれ、と頼みにくる事もあるかもしれません。
肥料にぬかを入れたい生産者は、精米所に譲ってくれ、と頼みに行くかもしれません。
たいていの有機物、すなわち食品の廃棄物や動物の糞、植物や動物の体の一部、などは微生物などにより分解して堆肥にすることができます。
昔は人糞も使いましたが、現在はそれらを含む下水の汚泥から作る肥料もあります。しかし、下水の汚泥は重金属など、植物や人間に悪いもの含んでいるので、適切な処理が必要です。
有機肥料は、産業廃棄物を生かして十分に作れて、しかも資源のリサイクルとしても極めて有効な手段である、という事です。
しかし、有機物は、腐敗してしまう事も多くあります。腐敗すると、作物に害を与える微生物や虫が増え、有毒なガスなどが出たりして、作物に悪影響を与えます。
これらの原料は、一度微生物の力で「発酵」させなければなりません。腐敗も発酵も微生物の働きですが、作物や人間にとって有益なものになるか、悪いものになるか、が腐敗と発酵の差です。発酵してよい微生物が増えた有機肥料は、悪い微生物の力を受けにくくなります。
堆肥の作り方
有機肥料の中でも、作物を作る前に畑に大量に投入するものを「堆肥」と呼びます。
牛の糞から堆肥を作る様子を見てみましょう。
牧場の家畜の牛の糞を積んで置いておくと、やがて微生物がそれを分解し、発酵していきます。
微生物が分解するとき熱が出るので、湯気が出てきて発酵している事がわかります。
この熱で腐敗菌などの多くも死滅します。
そしてある程度発酵が進めば、もう腐敗する心配も少ないので、「堆肥」として、畑に撒きます。
堆肥を撒くと、それが微生物の住みかとなり、それらの働きや繊維質などにより、空気が入りやすく、水はけもいい土になってきます。堆肥は、栄養源だけでなく、いい土にする作用も大きいのです。
作物が育っている間に撒く肥料(追肥)にも有機肥料が使えます。何年も置いた堆肥など、有機肥料は発酵が進みすぎると養分も減りすぎてしまいます。追肥などで使う場合は、養分を多めに残したものにする必要があります。
有機物から作った有機肥料は、土を良くし、バランスよい養分で作物も元気にします。そして産業廃棄物の最も有効な活用方法であり、環境にとってもすばらしいものと言っていいでしょう。


